彼の溺愛の波に乗せられて
「雅。驚かないで聞いて欲しい」
天寿は少し真剣な顔をした。
私は天寿の首の後ろに手を回したまま頷く。
「俺、サーフィンの他にもいろいろ起業しててさ。今はそれが俺の仕事なんだけど、このジムもあの前に行ったパスタの店も俺が立ち上げたんだ」
は、話してくれた。
聞く前に…話してくれた。
私はコクっと頷いた。
すると天寿は私の反応を見て困ったようにはにかむ。
「もしかして…知ってた?」
「たまたまこないだ書類を見て知って…」
「そうか…。なかなか言い出せなくて悪かった。その…、俺をちゃんと見て欲しくて」
少し目を伏せてしゅんとしながら話す天寿。
「なんで? なんでちゃんと見て欲しかったの?」
私はその先が聞きたいの。
「雅が好きなんだ。惚れてる」
ついに聞きたかった言葉が天寿の口から出た。
嬉しい。
こんなに気持ちを伝えられる事が嬉しいだなんて知らなかった。