彼の溺愛の波に乗せられて
「天寿。好き。早くくっつきたい」

すると天寿はため息をつく。

「雅ちゃん。あんまり煽んないで」

「煽ってないよ。本当の事言ってるだけ」

「キスしたい」

天寿はそう言って前を向きながら私の手をキュッと握る。

私もだよとその手を握り返した。 

そして信号待ちで停車するとすかさず引き寄せられてキスをされた。

甘い。凄く。

そして後ろの車にクラクションを鳴らされ、クスッと笑った天寿は車を発進させた。

マンションについてまた驚く。

「ここですか?」

「ここですね」

「さすがですね」

そこは新しくできたばかりのマンションでモダンな外観のオシャレなマンションだった。

手を引いて豪華なエントランスを潜りエレベーターに乗って、天寿は最上階のボタンを押した。

「最上階ですか…」

「そっすね」

「なんか…」

どんどん顔が引きつる私。

「雅。俺を見て」

そうだった。
どんな所に住んでても天寿は天寿だ。

私は微笑んでみせると天寿はどこかホッとしたように肩の力を抜いた。
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