彼の溺愛の波に乗せられて
雅とは早朝変わらず海で会ったり、雅の休みの日は前日の夜から泊まりに来るのが日課になった。

そんな日が続いて季節はあっという間に秋へと変わる。

だんだん早朝の海は冷たくなってきた。

今日は久しぶりに社員に教えてもらったBARに飲みに行く事にした。

一人で仕事帰りにスーツを着たままカウンターに座る。

マスターが注文したウィスキーをコトっと俺の前に置いた。

ここは落ち着いた雰囲気でなかなか気に入ってる。

するとひとつ席を開けて一人の女性が座った。

俺は気にせずゆっくりとグラスを傾ける。

「あの、天寿さんですよね?」

隣に座った女が話しかけてきた。
うわ。
苦手だわ。

俺はペコッとだけ会釈を返す。

ん? どっかで見たことあるか?

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