彼の溺愛の波に乗せられて
「あの、私前に愛莉さんと一緒に街で…」

ああ。愛莉ちゃんの隣りにいた女か。
でも俺はこの女には悪いがなんの義理もない。

気安く名前を呼ばれるのも若干気に触る。

というか、愛莉ちゃんの同僚だかなんだか知らないが、いかにも猫被りな感じがひしひしと伝わってくるなこの女からは。

「ちょっと覚えてないな」

俺はシラを切る。
その時寿梨から電話が来た。
仕事の件だな。

俺はスッと立ち上がりマスターに声をかけて一度席を外す。

店の外で寿梨と仕事の電話をしてまた席に戻った。

まだいるか。

はぁ。

マスターは他の客に付いてる。

とりあえず残りのウィスキーをクイッと一気に飲み干した。

すると少しするとドクンと胸が変な動きをする。

クソっ。
盛られた!?
日本でもこんな事するヤツいたのかよ。

海外ではわりとよくあったけど、ここは日本だし油断してた。

そして朦朧とする中、隣の女を見れば俺を見て笑った。

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