彼の溺愛の波に乗せられて
『ティッシュだ! 匂いかげ!』

「まじかよ」

『それで絶対わかるだろ』

俺は不本意ながら恐る恐る匂いを嗅いでみる。

おお?

「無臭だ!」

俺は開き直って広げると濡れてもない。
時間的に完全に乾くにはまだ早いよな?

「乾いてる! ただのティッシュだこれ!」

『これでお前の潔白は証明できたな!』

「危ねぇ。一人ならまだしも、今は大事な彼女がいるし、傷つけたくない」

『なら、尚更何もなかったんだから先に言っといた方が後々何かあった時いいんじゃないか?』

「だよな…。はぁ。こえー。めっちゃ怒られそう」

『ははは! 信じてもらえなかったら俺に電話しろ! 俺からも言ってやるから! こんなに彼女にゾッコンなテンジュ初めて見たぞ!』
< 186 / 301 >

この作品をシェア

pagetop