彼の溺愛の波に乗せられて
未来は
それから少し経ったある日、天寿が夜中誰かと電話している声で目が冷めた。

英語…?

「ああ。お前だけだよ」

それはとても流暢な英語で、向こうの友達とでも話してるのかな、やっぱりペラペラだ、なんて思いながら呑気にまた眠ろうとした。

「愛してる」

え…?

「結婚したい」

甘く囁くように。
それでもはっきりと聞こえた。

誰と話してるの…?
向こうに誰かいるの?

「もう我慢出来ない」

なんでそんな切なそうに…

ドクンドクンと心臓がおかしな動きをし始める。

「ああ。俺も早く会いたいよ。すぐにそっちへ行くから待っててくれ」

ははは…
そ、そうだよね。

私はうっかりしていた。

天寿のような人が私の事なんて本気でどうこうしたいだなんて思うわけないよね。

そっか…。
天寿、行っちゃうんだね。

グッと泣きそうになるのを我慢するもやっぱり涙が出てしまう。

「それじゃそろそろ切るよ」

まずい!
私は慌てて涙を拭う。
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