彼の溺愛の波に乗せられて
結局それでも天寿を好きな私は自分から確信をつくような事を聞けない。

その後も聞かないまま時間だけが過ぎていく。

抱かれるたびに切なくなった。

「愛してる」

そう言われるたびに、私じゃない誰かを想ってるんだと思うと胸が張り裂けそうになった。

それでも求めてくる天寿の手を振り払う事なんでできない。
だって私は好きだから。

身代わりでもなんでもいい。

少しでもこの時間が長く続きますようにと願わずにはいられなかった。

天寿から言われるまでは黙っておこうと、知らないフリを貫こうとそう思った。

「雅、俺アメリカに行ってくるよ」

そしてバレンタインの少し前についに天寿から言われた。

「そ、そうなんだ! いつ?」

私はそれでも普通にする。

「二月の中旬かな」

二月中旬…
バレンタインだ。

バレンタインに合わせて向こうに行って、天寿は…

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