彼の溺愛の波に乗せられて
これが最後だ…

「んっ…天寿っ…」

ヤバい泣きそう。

最中もずっとその事が頭から離れなくて遂に泣いてしまう。

「雅…愛してるっ…クッ…」

そんな私を見つめていつものように愛おしそうに囁く天寿。

やっぱり何かの間違いなのではと思うほどに甘やかされた。

「私も愛してる」

初めて好きではなく愛してると口にする。

天寿は一瞬目を大きくして瞳を揺らす。

そんな驚かないでよ。
天寿だって言うじゃん。

私にも最後くらい言わせてよ。

そんな風に思いながら天寿のキスに答えながら、激しくなる律動に身を任せ激情の波に飲み込まれた。

「ごめんな、雅。行ってくる」

翌朝いつの間にか支度を済ませた天寿が、休みの私にそっと声をかける。

昨晩は結局、昨晩というかさっきまでずっと天寿は私を寝かせてくれなかった。

天寿も少しでも寂しいと思ってくれてるのだろうか。

「天寿…。いってらっしゃい」

私はなんとか身体を起こして玄関まで着いていく。

「寝てていいのに」

やだよ。
最後くらい笑顔で見送らせてよ。
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