彼の溺愛の波に乗せられて
あれは嘘だった…?

俺に同情して?

最後に見せた雅の笑顔を思い出す。

笑ってた。
それはとても明るく。

寂しさなんて感じさせないくらいに。

雅はこの時を待ってたのか?
ここを出て行きたくて?

本当は全部…
我慢してた?

ちょ、ちょっと待て。
落ち着け。

一旦目を閉じる。

何かおかしな事はなかったかもう一度思い返す。

ダメだ。
わっかんねぇ。

あのバカ絶対に何か勘違いでもしてんじゃねぇの?

冷静になってきてそんな事を思いはじめた俺。

あのバカと呼んだのは後で謝ろう。

さっぱり意味がわからないが、この状況からして雅が出て行ったのは間違いない。

雅が書いた手紙をまた見る。

愛してるって…

なら出てくなよ。





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