彼の溺愛の波に乗せられて
形の綺麗な薄めの唇から僅かに吐息が漏れる度に唇に息がかすめ、食べてしまいたくなる。

下唇をはむっと咥えいつも天寿が私にするみたいに吸い付いた。

焦らされてるかのようにゆっくりと動く天寿。

見つめ合ったまま私を情欲のこもった熱い瞳で見下ろす。

その瞳には確かに愛が溢れ言葉にしなくてもこんなに幸せを感じる事ができる。

「天寿っ…」

「ん?」

「私、いい奥さんになるから」

そう言えばフッと笑う天寿。

「何を言うかと思えば…」

そしてキスが降ってくる。

「はぁっ…」

「遠慮はなし。いいな?」

私はコクっと頷く。

「雅は変なところで遠慮するからな」

それを言われると…

「いい加減諦めろ」

オデコを付けて真っ直ぐに見下ろされる。
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