彼の溺愛の波に乗せられて
「人すごいね! でも綺麗ー」

俺は雅の手を握って歩く。
チョロチョロと迷子になりそうだから。

すると小さな子供がキョロキョロとしているのが見えた。

兄妹か?
迷子?

「雅、あの子達、迷子か?」

「え? 大変! 行こう!」

俺たちはその子達の元へ向かう。
雅はしゃがんで話しかけた。

「こんにちは! お花見にきたの? 誰か探してるのかな?」

するとその兄妹は手を繋いだままコクっと頷いた。

「パパとママの所に戻りたいんだけど、わからなくなっちゃったんだ」

兄貴が答える。
妹の手をギュっと握って。

ははは。
かわいい。

こんなに小さくても妹を守りたいんだな。

「名前は?」

俺もしゃがんで話を聞く。

「ジョージ! かぐらじょうじ! こっちは妹ですい!」

「おお。元気だな。立派な兄貴だ。向こうに連絡してくれるテントがあるから、そこでパパとママを呼んで迎えにきてもらおう」

俺はテントの場所を指さす。

「呼んでもらえるの?」

「お兄ちゃん、ありがとう!」

「二人とも泣かないで偉いな」

俺は二人の頭を撫でた。
クハハ。

泣くのを我慢してるみたいだ。
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