彼の溺愛の波に乗せられて
雅は結婚してから、というか出会ってからどんどん綺麗になって行く。

本当に俺をどうしたいんだよ。

俺は懲りずにまたこめかみにキスをした。

「天寿!」

「ははは」

そして怒られる。
可愛い。

季節は夏に変わり海水浴シーズンとなり、俺たちは春から海に出ていたのもあってもう真っ黒だ。
まぁ、通年黒いけど。

そんなある日、携帯に知らない番号から電話がかかってきた。

「はい」

『もしもし、天寿くん。俺、神楽純平。覚えてるかな? 花見の時子供達を…』

「あ! 純平さん! もちろん覚えてますよ」

『本当にその節はありがとう。お店にも何度か行かせてもらったよ』

え!? いつの間に!?

「連絡くれればサービスしたのに!」

つい敬語が外れてしまう。

『ははは。天寿くんならそうすると思って、黙って行かせてもらった。どの店もとても素敵な店だったよ』

「そんな…。気を使わせてしまって逆に申し訳ないです」
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