彼の溺愛の波に乗せられて
近づく男性にはあんなに警戒していたはずなのに。

気づけば天寿はスルっとその警戒網を潜り抜け、大丈夫だよと言うみたいに優しくそっと私を捕まえてくれた。

きっと私が誰のことも好きになれなかったのは、天寿と出会うのを待っていたからなのかもしれない。

偶然天寿がこの街に越してきて、偶然たっくんにスポットを教えてもらって。

そして偶然が重なり私達は出会った。

全てはこうなる未来のために。

朝日に照らされ輝く指輪を見ながらそんな事を思う。

変わらず私は天邪鬼だけど、天寿はそれすらも愛しいと言って可愛がってくれる。

この大きな愛に包まれて、たくさんの幸せを運んできてくれる。

天寿がこの街を選んで、私を選んでくれて本当に良かった。

ありがとうと心をこめてその手を抱き寄せる。

するとギューっと抱きしめられた。



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