彼の溺愛の波に乗せられて


その後も気になってチラチラと見てしまう。

彼はお肉が席に運ばれてくると迷わずに焼き始めた。
そして焼けたお肉を彼女たちが美味しそうに食べるのを見て微笑んでいる。

あんな顔するんだ。
そしてレディファーストなんだ。

そりゃモテるわな。
私の事なんて眼中にもないだろう。

なのになんであの時ご飯誘った?
他に言うことなかったとか?

あ、それか?

息を吐くようにご飯誘っちゃう感じ?

あり得る。
ものすごくあり得る。

波と一体化しているように乗りこなす男らしい姿。

タイヤがはまって牽引してくれて助けてくれた彼。

誰? なんてからかうように言った後ご飯を誘ってきた彼。

私には笑わないのに、モデルのような彼女には優しく微笑む彼。

一体どれが本当の彼の姿なんだ?

謎は深まるばかりだ。

そんな事を愛莉のマシンガントークを聞いたフリをしながら考えていれば最後のお肉を食べ終わってしまった。
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