シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 普段から声が大きいグリムオオカミだが、それさえささやき声だったかと思うくらい、()(がね)のようなドスのきいた大声で男に迫った。

 その迫力に、さっきまでの勢いはどこへやら男達が「ひぃっ」と小さく悲鳴(ひめい)を上げながら、私達を遠巻(とおま)きにしていた人々の中にまぎれようとする。

 が、その遠巻きにしていた野次馬(やじうま)達も後ずさっていたので、結局(けっきょく)まぎれこめなかった。

「おい、逃がしてくれねえのかよ」

「元はと言えば、お前らがあいつらにつっかかってたんだろ? なんでオレたちがお前らの(たて)にならなきゃいけないんだよ」

「お前らだってヤジとばしてたじゃねえかよ」
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