シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 面倒くさいなあ、もう。オオカミ相手には強く出られないけど、私みたいな小娘にはこうやって強気に出るような奴なんだ。

 でもグリムオオカミが(そして今度はペローオオカミも一緒になって)

「「あ あ ん ?」」

 とすごんでくれて、今の男はまたコソコソかくれた。
 その時だった。

「ねえ、あんた達?」

 振り向くと鏡の魔女さんが艶然(えんぜん)とした笑みを浮かべて、ゆっくりと歩いて来た。

 すごんでもいないし、怒りの表情でもないけれど、「この人には絶対逆らえない」と思わせる不思議な迫力に満ちている。
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