シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「いいから、お父様の言うとおりになさい」

「お母さん?」

 すると妹までがこう言い出した。

「いいのよ、お姉様。私のこと、ガッツリにらんじゃってちょうだい」

 わけがわからないまま三人から「さあさあ」とうながされ、私は妹をにらんだ……つもりだった。が、やはりこんな可愛い女の子をにらみつけるなんてできない。

「ははは……全然にらめていないねえ。ジャボットはやさしい子なんだね」

「仕方がないわね。私の後ろに隠れてしまいなさい。打ち解けてない様子を見せれば、この場はどうにかなるでしょう」

 どういうことなんだろう。不安は大きくなるばかりで、お母さんの背中に(かく)れながら、涙がにじんできた。
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