シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 ……ダン!
 魔女(まじょ)さんの左足が力強くテーブルを鳴らす。

 ……ダン!
 今度は右足で鳴らす。

 ダン!ダン!ダン!ダン!ダダダダダダダ…………ダン!!

 両足の(かかと)とつま先を器用に使い、細かくリズムをとったあと、ひときわ強くテーブルを踏んだ。

 邪魔にならないよう、スカートの裾をほんの少し指先で持ち上げる。この間見せてもらった羽のついた赤い靴がチラリと見えた。

 トカラッ…トカラッ…トカラッ…トカラッ………

 また軽やかなリズムを踏む。お城での本番は楽団が音楽をかなで、それに合わせて靴を鳴らしていたはずだけど、今は音楽なんて全くない森の中。

 でも魔女(まじょ)さんが鳴らす音が心地よくて、他の楽器なんて必要(ひつよう)がないくらい。
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