シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 カッカカン、トン!カカカカトン、トン!
ッカカッ、ッカカッ、ッカカッ、ッカカッ、ッカカッ、ッカカッ、ッカカッ、ッカカッ、カカカカカカカカカ…

 足を鳴らしているとは思えないほど、細かいリズムを刻み続ける。すごい。こんなに早いリズムは、手で打つのもむずかしい。

 それを足で表現するなんて……。一体どれだけ練習を積み重ねたんだろう。

 気が付くと私の頬は涙でぬれていた。それでも、両目は魔女(まじょ)さんの動きを追って吸いついたようにはなせない。

カカットン!トン!!…ダン!!!!

 《混沌(こんとん)の森》は小鳥さえさえずるのを止め、水を打ったような静けさが落ちた。その中に魔女(まじょ)さんのくつが最後にテーブルを打った音がひびいてこだまする。

 誰もかれも動くことができず、息をすることさえためらわれるような時間が過ぎた。
< 125 / 196 >

この作品をシェア

pagetop