シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 ふと男達の一人が静寂(せいじゃく)を破り、小さく手をたたく。

 どこか放心したような表情だが、とにかく何か伝えなくてはいけない、と思いつめているようにも見える。

 それにつられるように、パラパラとそこかしこで拍手が起こった。

 私も呼吸を再開し、手を叩こうとするが震えて上手く叩けない。声に出して何か言おうにも、声も出ない。こんなに感動したのは、生まれて初めてだ。

 拍手の代わりに涙がポロポロとこぼれ、目が合った魔女(まじょ)さんが笑みで(こた)えてくれる。

 ハッとなってグリムオオカミをふりむくと、彼は両手で顔をおおって泣きじゃくっていた。

「あ…あでご(姉御)…ずげえっず…ほんど、ずげえっず…ざずが、おで(オレ)ぼれだ(惚れた)女っず…」
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