シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

オオカミの告白

「今までお世話になったあんた達にもぜひ見てもらいたくて、今日はここに来たんだよ」

 魔女(まじょ)さんの言葉から、今日は私達にお別れを言いに来たのだと(さっ)した。さびしい。泣きそう。笑顔でお別れを言わなきゃ、と思うのに涙がこみ上げた。

 でも、ここには私より、私以上に(かがみ)魔女(まじょ)さんとの別れを悲しんでいるオオカミがいる。

 その“彼”の方をふりむくと、グリムオオカミは首を90度に曲げてうつむき、わなわなと体をふるわせていた。

 下を向きすぎて顔が完全に見えなくなっていたが、目がある辺りからボタボタと大粒の水分が地面に落ちる。
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