シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 (たし)かにヒロインにふさわしい美しさだった。誰もが一目で愛さずにいられない、可憐(かれん)な少女。

 絵本や、さし絵で彼女の顔を見たら、本を読んでいる子供たちはみんな彼女に夢中(むちゅう)になり、応援(おうえん)してしまうだろう。

 そんなヒロインの姉になれたことに、私は(ほこ)りを持たずにはいられなかった。

 皆に自慢(じまん)したい!
 私の妹はかわいくて素敵(すてき)なヒロインなんだ!

 ところが、続いて聞かされた内容(ないよう)は私を奈落(ならく)の底につき落とすようなものだった。

 お母さんは継子(ままこ)である妹をいじめるママハハ、そしてその娘である私も、妹をいじめる役なんだそうだ。

 そんな……せっかくあんなにかわいい妹ができたのに、なかよくしちゃいけないなんて。
 いじめなくちゃいけないなんて。
 そんなのひどい……。

 涙がポロポロこぼれ落ちた。
< 13 / 353 >

この作品をシェア

pagetop