シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「それで、……えーと、何から言えばいいかしら……。そうだ、さっきの言葉、もう一度言ってくれる?」

「…………」(コク……ん?)

 グリムオオカミは意味をつかみかねて顔を上げる。涙と鼻水でひどい顔だ。

「ざっぎのごどば?」

「ああもう、ちょっとこれで鼻をかみな」

魔女(まじょ)さんからきれいなハンカチを差し出されて、グリムオオカミは思わず後ろに下がる。

「ご、ごんなぎれいなバンガチ、もっだいねえズ」

「面倒だねえ。ほら!」

 無理やりハンカチを鼻に押し当てられたグリムオオカミは、観念(かんねん)して鼻をかんだ。
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