シンデレラのないしょ話 ～悪役令嬢だって恋をする～

シンデレラの条件

　お父様は男爵(だんしゃく)という爵位(しゃくい)を持つ貴族で、それほど領地(りょうち)は広くなくて、つまり財産(ざいさん)もそれほどないけれど、ながく続いている由緒(ゆいしょ)ある家系(かけい)なのだそうだ。

　そして奥様は妹を産んですぐ亡くなられたので、不憫(ふびん)に思ったお父様は、母親似の娘のことをそれはそれはかわいがっていることなどを聞いた。

　お父様は奥様が生前(せいぜん)「私達の娘はちょうどヒロインが選ばれる年頃ね。もし私達の娘がヒロインになったら素敵(すてき)でしょうね」と言っていたことを思い出し、応募(おうぼ)してみたら見事に当選(とうせん)してしまったらしい。


　当時シンデレラ募集(ぼしゅう)の条件(じょうけん)としてあげられていたのは

１.金髪(きんぱつ)であること

２.瞳の色が宝石（種類(しゅるい)は問わない）のようであること

３.誰もがみとめる美少女であること


　これに当てはまる少女は大勢いたらしいが、その中でも抜群(ばつぐん)に器量良(きりょうよ)しだったのが妹だったと、お父様がうれしそうに言っていた。

　なるほど、お母さんが私を応募(おうぼ)させなかったわけだ。

　私の髪(かみ)の色は結構(けっこう)明るめの色ではあるが、金髪(きんぱつ)というより亜麻(あま)色だし、瞳(ひとみ)は緑色だけどエメラルドというよりそこらの草みたいな色だ。

　誰もがみとめる美少女という三つ目の条件(じょうけん)にはかすりもしていない。