シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「ごめんなさい。せっかくセットしてくれたのに……」
 
「いいのよ、ちょっと直すだけですむから」
 
シンデレラは器用に、はみ出たおくれ毛をすっすっと(くし)でまとめて、ピンでとめた。乱れた(あと)なんて全然(ぜんぜん)わからない。
 
舞踏会(ぶとうかい)の会場でも、もし(かみ)がほつれたらすぐ言ってね。ちゃちゃっと直しちゃうから」
 
「ありがとう」

 改めて(かがみ)の中の自分をまじまじと見る。
 
 シンデレラのとなりで自分の顔を見るのは、心に墓穴(ぼけつ)を掘ることになるので、なるべく髪型(かみがた)注意(ちゅうい)して見てみた。
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