シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 彼女達が妹を、王子様のお(きさき)になることが決定しているシンデレラという存在(そんざい)を、どう思っているのかはわからない。
 
 自分達の夢であるあこがれの対象(たいしょう)なのか、はたまた嫉妬(しっと)対象(たいしょう)なのか。
 
 でも少なくとも、悪役である(ジャボット)に対して、よくない感情を持っていることは確実(かくじつ)だ。

 王子様を一目見たいという欲望(よくぼう)と、私の正体を彼女達に知られたくないという葛藤(葛藤)挙動不審(きょどうふしん)になった私は、とりあえず親衛隊(しんえいたい)の後ろで少し距離(きょり)をとりながら、目立たないようにウロチョロ歩き回った。

 もしかしたら今日こそ王子様の姿を、彼女達のすきまからでも、チラリと一目見ることができるかもと、期待に胸をふくらませながら。
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