シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 私より三つ年上の王子様は、既に成人式をすまされている。
 
 大人になった王子様は人としても美しさにおいても、まさに完成の時をむかえていた。
 
 美の女神が究極(きゅうきょく)の美しさを求め、デザインをきわめて作り上げたらこうなった、と言われてもみんな信じるだろう。

 プリンス親衛隊(しんえいたい)のメンバーらしき少女達も、やはりこの舞踏会(ぶとうかい)招待(しょうたい)されていたようだ。
 
 さすがにパレードや城門の前の時のような、耳をつんざく「キャ――――――――!!」という声こそあげなかったが、押し殺した悲鳴(ひめい)のような声がかすかにもれていた。
 
 彼女達の後方から、王子様のを追い続ける私もまた、感嘆(かんたん)の声をあげそうになりながら、彼の一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)を見もらすまいと見つめ続ける。
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