シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 王子様が、神が造りえた究極(きゅうきょく)美貌(びぼう)にして長年の私のあこがれにしてシンデレラへのしっとの原因にして長年の私の苦しみの原因にして、それでもやはり素敵(すてき)すぎる王子様が、私の目の前に立っている。

 
 私の、目の前に、立っている。

 
 そして小さな声で言った。
 
 「君だ」と。(お声も素敵(すてき)

 …………ん?……君って、(だれ)?……(だれ)のこと……だろう……?

 王子様は、思考(しこう)が完全にとまったままの私の手を取り、ゆっくりとおじぎをした。(なんて優雅(ゆうが)なしぐさ……素敵(すてき)

 ここまで来ても私は「もしかしたら、ゆうべの夢の続きかしら?」という思いを捨てきれずにいた。

 だって、こんなのありえない……
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