シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 お父様があわてたように「ジャボット、ジャボット!」と呼んでいるが、まるで(まく)を一枚へだてているように遠くに感じる。
 
 お母さんも「ジャボット、王子様にごあいさつなさい!!」とあわてているようだ。

 
 ごあいさつ……ごあいさつ……?
 
 言葉の意味を理解(りかい)しようとするけれど、頭も体が固まったまま動くことができない……

 
 いよいよあわてだすお父様とお母さん、他の招待客(しょうたいきゃく)もざわついているような気配を感じる。

 と、王子様が小さくふき出した。
「うん、間違(まちが)いない。やっぱり君だ」
 
「……え?」
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