シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 王子様のリードは、素人の私でもわかるくらい華麗(かれい)で、かつやさしく、私のふなれさをカバーしようとしてくれていたが、いかんせん私が下手過(へたす)ぎるせいで、カバーしきれていなかった。
 
 プリンス親衛隊(しんえいたい)が聞えよがしにクスクスと笑い、恥ずかしさで顔が赤くなるのがわかる。

 そんな私を見かねたのか、王子様は「あちらへ行こうか」と耳元でささやいて(ここでさらに気絶寸前(きぜつすんぜん)になる……ささやき声も素敵(すてき)(おど)りながらさりげなく大広間の中央から部屋のはしに移動(いどう)し、テラスから庭へと連れ出した。
< 237 / 353 >

この作品をシェア

pagetop