シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

君がシンデレラだよね

 テラスに出た後王子様にみちびかれ、はずれに(しつら)えてある階段(かいだん)を降りて中庭の四阿(あずまや)へとやってきた。

 四阿(あずまや)の周りにはバラのアーチやローズマリー、カモミール、ラベンダーといったハーブのしげみがあり、お城の(まど)からは見えにくくなっている。
 あたりに花々の(かぐわ)しい香りがほのかに(ただよ)い、空には()るような星、かすかに聞こえてくる音楽、そして目の前にはあこがれ続けた王子様。

 なんてロマンティックなシチュエーション。

 ただ、まだ混乱(こんらん)の中にあった私は、こんな素敵(すてき)な場面の中にいる自分を理解(りかい)しきれずにいた。
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