シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「その姿を見て、みんながいやがる役を進んで引き受けようとする優しさと勇気に、私は彼女を愛してしまったんだよ」
 お父様は少しほほを赤らめて告白した。
「もったいないお言葉です、あなた」
「いやいや、私の方こそ、君のような女性はもったいない平凡な男で」
「平凡だなんて、そんなこと……」
「君はすばらしい女性だ」
「あなた……」
「お前……」

 お父様とお母さんはすっかりイチャイチャモードになった。
 私は二人にあてられてそぅっと退出した。
 幸せそうで、何よりだ。

 まあそんな調子で、うちの家族は結構(けっこう)上手くいっていると思う。

 ………………私一人をのぞいて。
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