シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「そこだけ時間の流れが止まっているみたいだった。最初(さいしょ)は人形が置いてあるのかと思ったけど、よく見るとそれは一人のかわいい女の子だったんだ。……君だよ」

 あのパレードの日がよみがえる。
 
 人々のざわめき。
 
 晴れ渡った明るい青空。
 
 白い馬に乗った騎士達(きしたち)
 
 パレードの美しい馬車(ばしゃ)
 
 お母さんが笑って「そんなに紙吹雪(かみふぶき)を投げたら王様方が通った時に無くなってしまうわよ」と言い、そして……

 初めて王子様を見て、私は動くことができなかったのだ。
 あまりに美しくて、見とれてしまって。
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