シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「ごめん、(ぼく)はこんなマヌケな男なんだ。親衛隊(しんえいたい)なんてついて、女の子からキャーキャー言われて、いつもすましているけど、この始末さ」
 
 さっきの私みたいに、頭を(かか)えてうずくまる。
 
幻滅(げんめつ)したよね。…………こんなのが、この国の王子だなんて」

 うなだれた王子様は、まるで小さい子供みたい。
 
 ダンスでリードしていた時のスマートさの欠片(かけら)もない、かっこ悪い姿。情けない顔。

 なのに、どうしようもなくわきおこる感情が、私の中をかけめぐった。

 ああ、私、この人が好き。
 
 好き。
 
 好き!
 
 大好き!
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