シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 五年前のパレードの日から、私はずっと王子様に恋していた。……と思っていた。

 違った。あれは恋じゃなかった。

 私は今日、初めて王子様と、王子様の本当の姿と出会って、初めて恋をしたのだ。

 自信満々に人違いをして、「じいの嘘つき」と叫んで、頭を()いて、あわてて、足をしびれさせてころんで、恥ずかしがってうずくまって、かっこ悪くて、そして、私のことを知っていたという、王子様に。

 気付くと私の(ほほ)(なみだ)がポロポロ、ポロポロとこぼれ落ちていた。

 また王子様がかんちがいしてあわてる。
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