シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

夢よ、さめないで

「好きです。……王子様が、好きです」

 一瞬(いっしゅん)おどろいたように目を見開いたあと、王子様はやさしくほほえみ、その笑顔に負けないくらいやさしい(うで)を私の背中に回した。

(ぼく)も、好きです。君が、好きです。あのパレードの日からずっと、君のことが好きです」

 私を()きしめる手に、徐々に力がこめられる。王子様の存在が五感のすべてで感じられた。
 
 耳に吐息(といき)が、胸に鼓動(こどう)が、密着(みっちゃく)する体から体温が、その全てが王子様は生きた人間だと教えてくれる。
 
 そしてうっとりとした口調(くちょう)でこう言った。
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