シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 それで、わかってくれたようだ。
 
「そうか、君はシンデレラの義理(ぎり)のお姉さんか」
 
「……はい」

 知られたくなかった。シンデレラをいじめる悪役の姉。それが私だと。
 
 王子様もあきれているかも知れない。悪役のくせに王子様に告白して、ヒロインみたいに(なみだ)を見せて。

 私がジャボットだからと、敬遠(けいえん)してきた人達のことを思い出した。
 
 「悪者め」と石を投げてきた子供達、お母さんや私を見ながらコソコソとうわさをしていた人達、ジャボットという名前を聞いたとたん、友達になるのを拒否(きょひ)した少女達。
 
 同じような目を、王子様から向けられるのだけは()えられない。
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