シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 そのとき、ふといつかのシンデレラが言った「つまんなーい」という声が聞こえた気がした。
 
「………あ……」
 
 王子様と結婚して、このお城に住んで、本当にシンデレラが幸せになれるのか……。
 あの日めばえた小さな疑問(ぎもん)がよみがえる。

 考えこんでしまった私の手を、王子様はぎゅっとにぎった。

「これから(ぼく)の言うことを、聞いてほしい。(ぼく)は、君のことが好きだ。もうずっと、何年も前からだ。これはわかってくれたね?」
 
「……はい」
 
(ぼく)はシンデレラではなくて、君に(ぼく)と結婚してほしい。……これも、了解(りょうかい)?」
 
了解(りょうかい)、です」
 
ここで王子さまはふっと軽く笑うと、私の手をにぎる力を少しだけゆるめた。
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