シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「やっと見つけたー!こんなとこにいたんだ、お姉さ……ま……」
 
いつもと変わらない口調(くちょう)でガサガサとハーブのしげみをかき分けてやってきたシンデレラは、そこで動きを止めた。

「あ、あらあらーーーー!お、おじゃましちゃいましたぁ?」
 
 言われて、はたと自分の状況(じょうきょう)を思い出す。

 まだ王子様に抱きすくめられ、手をにぎられていたのだった。思い切りラブシーン的状況(じょうきょう)だ。
 
「あ、ち、ちがうの、シンデレラ。私は、別に……」

 これは言い訳出来ない。あせって何か言おうとするけど、うまい言葉が見つからず、余計にあせりがつのる。
 
 浮気(うわき)がバレた人ってこんな感じなのかしら。
 いや、この場合浮気(うわき)?しているのは私ではなく、王子様なんだけど……。
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