シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 遠くに見えるお城の明かりや、月明りに照らされたドレス姿のシンデレラは、見なれているはずの私でさえ息をのむ美しさだった。

 月の光の妖精か、舞踏会(ぶろうかい)の音楽にさそわれておりてきた天使か。この世のものとは思われなかった。

 ああ、こんなにきれいな子に、恋しないでいられる男性なんているかしら……

 ……という私の感慨(かんがい)を、二人はいとも容易(たやす)くポキポキと折ってくる。

「もちろん、シンデレラも話に加わってくれなくちゃ。近い将来、(ぼく)達は兄妹になるかも知れないんだからね」

「やだー、王子様の妹だなんて、私すごーい!」

「いや、待ちなさい。あなたは妹どころか王子様のお(きさき)になる予定でしょ!」
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