シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 よく見ると、体こそかなり大きいが、なかなか整った顔をした男性で、身なりも上流階級のものを着こなしている。

 物腰(ものごし)も一見やわららかい……のだが、なんとも言えない迫力(はくりょく)を感じるのと、さりげなく隠した右うでがカギ爪になっていることに気付き、悲鳴(ひめい)を飲み込んだ。

 また気絶(きぜつ)してしまうとみんなに迷惑(めいわく)をかけると思い、必死で気をたもちながら、(おそ)(おそ)る声をかけた。

「あ、あの、あなたはどちら様ですか?」

「私はバリ地方で海賊(かいぞく)船の船長をしている、フックというものだ」
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