シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「ああー、泣かないでお姉さま。メイクが落ちちゃう」

「おそいわよ。さっきもう、一度泣いたわ」

「えっ、王子様。出会って間もないのに、もう泣かせたんですか?!」

 王子様をキッとにらむシンデレラ。早とちりしないで、あれは幸せな涙だったのだから。

 そして、当の王子様はというと、少し(にが)い顔をして私達を見ていた。

「待ってくれ。結論(けつろん)を早まらないでくれ。……シンデレラ、君には感謝(かんしゃ)する。ここまで環境(かんきょう)(ととの)えてくれていたとは思わなかった」

「王子様……?」

「ジャボットに『シンデレラ』になってもらう前に、話しておかなければいけないことがある」
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