シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

メリットとデメリット

「もしかして、さっき言いかけていたこと……ですか?」

「そうだ」

 王子様が四阿(あずまや)のベンチを指さす。

「とりあえず、一度落ち着いて(すわ)ろうか」

 人が(すわ)るために(しつら)えられたベンチは、さっきからずっと誰にも(すわ)られることがないまま、辛抱(しんぼう)強く出番(でばん)を待っていたように鎮座(ちんざ)していた。

 四人で(すわ)るとちょうどいっぱいになり、フック船長の体が大きい分少し手狭(てぜま)に感じる。

 先ほどと同じで、空には満天の星、かすかに聞こえてくる音楽、花の香りがほのかに漂っているが、男女四人がぎゅうぎゅうに(すわ)っていて、ロマンティックな気分は吹き飛んでしまった。

「では、おさらいしよう」
 王子様が語りだした。
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