シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「えー……」
 こほんと咳払(せきばら)いして王子様が言う。

「とりあえず、シンデレラと船長はしばらく(だま)って聞いていてくれませんか?話に加わっていただきたい時がきたら、声をかけますから」

「イエッサー」とシンデレラ。

「これは失敬(しっけい)」とクック船長。


「そして、君も(ぼく)のことを好きだと言ってくれた。シンデレラに遠慮(えんりょ)して(ぼく)と結婚できないと言っていたが、これはもう気にしなくていいと、君もわかってくれたね?」

「……はい」

 となりで歓声(かんせい)をあげそうになったシンデレラを、クック船長が押さえている気配(けはい)がしたが、がんばって王子様の言葉に集中(しゅうちゅう)しようとした。
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