シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

シンデレラの涙

「呪い……」
 とつぶやいた私に、王子様は少しだけ悲しげにほほえんで言った。

「呪いと同時に、やっぱり祝福でもあるんだよ。どちらになるかは、(ぼく)次第(しだい)だ」

 なだめるような王子様の言葉が、遠くに聞こえる。

 なぜだろう。私は今までずっと、シンデレラは王子様と結婚したら自動的に『末永く幸せに』なれるものと思っていた。(うたが)うこともしなかった。

 シンデレラと王子様の未来は、ただただ明るい道だけが()かれているものと思い込んでいた。

 (うたが)いもせず、シンデレラをうらやんでいた……
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