シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「でも、(あん)ずるより生むが(やす)しって本当ね。ちょっと目を(はな)した(すき)に、こんなにうまくものごとが進むなんて、思ってもみなかったわ。ねえお姉様……お姉様?!」

 シンデレラが私の死体をゆさぶるが、起き上がることが出来ない。
 だって死んでるし。
 しばらくこのまま死なせて欲しい。

 と、それまで(だま)って聞いていたクック船長が口を開いた。

「おい、シンデレラ。うまくいったかどうかは、まだ決まっていないぞ」

「え?」

「そうだね、まだ(ぼく)はジャボットからプロポーズの返事(へんじ)をもらっていない」

「そうか。そうですね。……ねえ、お姉様、起きて。生き返って」
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