シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 王子様との結婚が幸せなものだと思っていた時は、あんなにシンデレラを(うらや)んでいたのに、そうではないとわかったとたんに、逃げたくなるなんて。

 私はシンデレラをチラ、と見た。

 彼女(かのじょ)の表情は晴々(はればれ)として、明るい。私に(いだ)いていた後ろめたさを告白(こくはく)し終え、今や自分の人生を切り開いていく決意(けつい)()ちているようだった。

 でもそんな妹に、姉として心配していることがある。今まで姉妹として何年も同じ家でくらしてきて、シンデレラをよく知っているからこそのことだ。
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