シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「おい」

 これにはさずがに知らん顔を通すことができなかったのか、船長がつっこんだ。

「人の船を腰掛(こしか)け代わりにするな」

腰掛(こしか)けのつもりはないわ!船に乗り込んだら、船の仕事を一生懸命(いっしょうけんめい)がんばるわよ」

 たしかにこの子なら、何をするにも全力でがんばるだろう。でも……

「それにしたって、あなたに海賊(かいぞく)なんて(つと)まるの? 家族も(だれ)もいない世界に出ていくなんて、(こわ)くないの?」

(こわ)いわよ、少しね」
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