シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 するとフック船長が「ははっ!」と笑い声を上げた。

「ジャボット嬢、王子様はやきもちを焼いているようだぞ」

 しかし王子様が冷たい目で一瞥(いちべつ)すると、すぐに笑いをひっこめる。

「はー、優男(やさおとこ)のくせにおっかない目で(にら)むなあ」とブツブツ(つぶや)きながら。

「やきもち?」

「…………まあ、(みと)めざるを得ないな。(ぼく)より先に君に『かわいい』と言った男に、ジェラシーを感じたのは(たし)かだ」

「……!……」

 王子様にやきもちを焼かれるなんて……!
 うれしい。すごくうれしい。うれしい……けど。
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