シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 王子様の言葉は「ここはお城です」とか「今は夜です」とでもいうように、明快(めいかい)だった。

「では、もう一度言うよ。……まあ(ことわ)られても、何度でも言うんだけど」

 王子様が、再度(さいど)私の前に(ひざまず)いた。

(ぼく)と、結婚してください」

 私は、ついにその手を取る。

「……はい……」

「やった――――!」

 大騒(おおさわ)ぎするシンデレラと、シンデレラのハイタッチにつきあわされるフック船長を背景(はいけい)に、私たちはキスをした。

 さっき(ころ)んでしまってできなかった分、そのキスは少し情熱的(じょうねつてき)だったかも知れない。
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